2006年11月05日
北方「水滸伝」読破

呑んだ。呑まされた。死にゆく漢への弔いの酒。涙も漏れた。
北方謙三「水滸伝」
こんな物語になるとは思ってみなかった。原作のキャラクタを活かした群像劇になるんだと思っていた。甘かった。ついうっかりしていたら、自分の弱さを切り捨てられそうになった。
好漢たちの吹き上がるような思いが心を揺さぶった。生きることをただ意味もなく捨てない、その生き様をしつこいぐらいに描いてくれている。元の水滸伝のようにいつのまにかコロコロと好漢たちが死んでいくような理不尽さは無く、一人一人に物語を与えたところに大きな評価がある。
終わり方には北方謙三らしさが溢れている。切なくなるが、仕方がない。
必ず叶う夢を追うばかりが漢ではないのだ。叶わぬものであっても自分の志に殉じるその強さが漢なのだ。
続編構想中とのこと。非常に楽しみだ。