2007年02月12日
垣根涼介「サウダージ」

垣根涼介「サウダージ」
これは、犯罪者から金をかすめ取ることを商売にしているグループの活躍を描くクライムノベルと言われている。
まず感想。
いや、甘いね。何が甘いって、内容が甘いよ。
アキともう一人の重要な登場人物関根こと高木の両方の恋愛(といっていいのか?)を主軸に物語は進んでいく。 今回は話のプロット自体には驚きはなく、この二人の揺れる心情を描くことに力が入っている。そのもどかしさとかいらだちとかはまるっきり青春小説のノリ。他の作者だったらどうと言うことはないのだけど、垣根涼介に求めているのはそういうものじゃないのでけっこう違和感を感じてしまった。
前半に描かれる前作までのあらすじもすでに読んでしまった身には冗長に感じられ、いっそ削ってほしかった。
車や銃器に関してのマニアックさは相変わらずで好感が持てる。うん、このシリーズが続くなら、もっとストイックな次作を望む。