2007年02月26日
東直己「熾火」

東直己「熾火」
出だしから不安が頭をよぎったんだけど、まさか途中で読むのをやめるわけもなく最後までいってしまった。そして、最後には陰鬱な気分で宙を見上げてしまった。
探偵畝原シリーズものは作者の作品の中では社会派ミステリに属している。主に役所や警察などが裏で働いている悪事に挑んでいる(これを書いたあたりは特に道警をターゲットに)。そのため、読んでいるうちに理不尽な社会の仕組みに腹を立てていくのがいつものパターンだ。
ところが、今回は怒りが頭を持ち上げる前に気持ちが暗くなってしまった。
というのは、取り扱っている内容が非常に重いからだ。こんな内容だと書いている方も相当な力を奪われるだろう。それは怒りか哀しみかどっちか。おそらくそれは怒りで、しかももっぱら道警の不祥事に向けられているのはあちこちのエッセイではっきりしている。まあ、よく最後まで書いた。
いろいろと考えさせられる内容だが、気持ちは沈む作品としておく。
しかし、何より驚いたのはこの作品、探偵畝原シリーズの第4作だってこと。
俺、第3作読んでないじゃん!
どうりで登場人物の様子が違うわけだ。なっとく。