2006年12月01日

「黄色い目の魚」


この作者は青春小説を書かせるとうまいんだよな。

佐藤多佳子「黄色い目の魚」

「しゃべれどもしゃべれども」でも「神様がくれた指」でもそうなのだが、主人公の成長する姿がよく描かれていて、壁を乗り越えることができずに悩む姿に共感し、ときには涙してしまう。

30代になってから実感するのは、こういった若者の物語についつい涙してしまうこと。ホントに弱くなった。別に自分の過去に後悔して、悔しい思いをしているのではない。ただ、若いということそのものに美しさを感じてしまうのだ。年をとったのかな?

この作品も連作のスタイルをとっているが、もともとは大学時代に書いた一本の短篇だった。それを大事に持ってくるあたりも俺の琴線に触れる。あっぱれ。

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